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zoom RSS Interview with Mr. Nonaka - 「紅茶と水の物語」著者、野中嘉人さんに聞く

<<   作成日時 : 2010/01/12 11:10   >>

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 東京・銀座の紅茶教室「ブルックボンドハウス」の支配人を務めていた野中嘉人さんが、09年4月、兜カ芸社より「紅茶と水の物語」を出版した。野中さんは現在、三菱商事系列のエム・シー・ビバレッジ・フーズ(以下、MCBF)で紅茶等のマーケティングを担当されている。
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「紅茶と水の物語」(文芸社刊)を出版した野中嘉人さん

○紅茶と水の関係を考察した貴重な書

 1990年代から、水道水の味の悪化やビルの貯水槽の水質が問題視されるようになり、輸入および国産のボトルドウォーターが清涼飲料市場で大きく伸び始めた。“水と安全はタダ”と言われてきた日本では、お茶を淹れる水もかつては水道水が当然だったが、水が変わると紅茶の味がここまで変わるという現象を、家庭で気軽に体験したり、よりおいしく紅茶を飲むために水を選ぶ人も出てくるようになった。
 1990年代後半に、野中さんはブルックボンドハウスで「紅茶と水」という講座を担当していた。講座の準備や、受講者の反応や意見を聞く中で、紅茶と水の相性、沸かし方や沸かす器具による違い、紅茶を蒸らしているときにお湯の対流に乗って茶葉が浮き沈みする“ジャンピング”現象の不思議などを、実体験しながら細かく観察し、考察を重ねた。それらを詳細にまとめたのが、本書の「U 紅茶をいれるための水」である。その前段として、紅茶とは何かという概略を解説した「T 紅茶について」、自身の体験談をエッセイとして綴った「V 紅茶と水のこぼれ話」を収録しており、本書はこの3部で構成されている。自身の体験に基づいた素朴な疑問や、新たな、あるいは小さな発見を核に、実際に行なった実験や観察の結果や、多彩な資料やデータも盛り込まれているところが、本書を一読の価値のある貴重な書としているといえよう。
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 日本紅茶協会顧問の荒木安正氏も推薦。この貴重な帯をそっとはずすと、驚きの真実が…(購入した人だけがわかります)。書籍の注文は最寄りの書店もしくは文芸社・販売TEL03-5369-2299へ。ISBN978-4-286-06499-4 定価/本体1200円+税
 
○日本紅茶鞄社とイギリスでのホームステイの不思議な縁
 
 野中さんが本書を出版するまでの道のりは、決して楽なものではなかった。野中さんは、1977年に成蹊大学法学部を卒業後、当時、ブルックボンドブランドの紅茶の製造・販売元だった三菱商事系列の日本紅茶鰍ノ入社した。面接時には、同社の専務取締役を務め、紅茶業界の“生き字引”と称された故・下河邊章氏も面接官を務めていた。下河邊氏がその後、社内資料としてまとめた「紅茶の水をどうするか」という文書が、野中さんの本書執筆の契機のひとつともなり、貴重な基礎知識を提供してくれた。そのような“縁”が生まれる端緒となった就職面接の際、どういう話の流れか、お2人は「桜貝は吸い物に適するか」というマニアックな話題で盛り上がったという。その甲斐(貝?!)あって日本紅茶に内定した野中さんは、入社前の大学卒業旅行として、イギリスでの1カ月のホームステイを経験した。滞在中のある日、郊外へ遠出したときに、近道の細い道を通っていると、故障で立ち往生している車があり、道をふさいでいた。「広いところまでいっしょに押してくれないか」と頼まれたその車は、なんと、イギリスのブルックボンド社の車だった。「不思議な縁を感じましたね」と野中さんは振り返る。またホームステイ中に、イギリスの家庭でのティータイムの習慣、現地の硬水で淹れたアールグレイやラプサンスーチョンの穏やかで上品な香り、コクのある乳製品と紅茶との相性なども体験した。
 入社後は、紅茶の淹れ方の研修などもあり、野中さんは紅茶会社の社員としてさまざまな紅茶に親しむようになった。その環境が大きく変わったのが2000年で、ブルックボンド紅茶の製造・販売が日本紅茶からユニリーバグループに移行したときだった。国際的な紅茶ブランドであるリプトンとブルックボンドがともに、ユニリーバ社の傘下に入ったことから、各国でそれまでは「最大のライバル」的存在だった両ブランドの統合が進み、日本でもついに一本化された。その際、日本紅茶の社員は、ユニリーバ社への移籍組と、紅茶以外のビジネスに携わるMCBF組に分かれた。

○水ビジネスの担当から、退職、転職、紅茶担当への復帰
 
 野中さんはMCBFでフランス産の軟水「ボルヴィックウォーター」を担当することになった。水ビジネスに直接関わる中で、さらに紅茶と水との関係を探究する一方、いずれはまた紅茶の仕事に復帰したいという思いも持ち続けていた。コツコツと本書のデータや原稿をまとめていった野中さんだが、その後スープなどの輸入食品を担当するようになり、MCBFが輸入食品部門を切り離そうとしたのを機に、2008年4月末に退社した。
 1年強のブランクがあったが、09年夏に再びMCBFから声がかかった。しかも、また紅茶の仕事をしたいと望んでいた野中さんの夢が現実のものとなる誘いだった。野中さんはMCBFに復帰する意思を固め、8月中旬から主に紅茶のPBの開発・マーケティングに関わっている。
 
○難題を乗り越えて出版を実現
 
 本書の原稿の完成、版元探し、編集・出版は、野中さんの休職中に進められた。出版不況と言われる中での版元探しは難航し、それならと自費出版を手掛ける文芸社に連絡してみた。原稿を読んだ担当者から的を得た批評をもらい、手応えを感じたが、提示された出版費用に躊躇し、すぐには決心がつきかねた。そのときに背中を押してくれたのが、野中さんの奥さんだった。「これまで30年も会社勤めをがんばってきたのだから、このくらいの出費はいいんじゃない?」という奥さんの言葉が決め手となり、出版を決意した。
 出版作業が進行中の08年10月に、静岡で元・日本紅茶の歴代社長を含むOB会が開かれ、野中さんも出席した。その席で野中さんは自著が出版されることを伝え、完成後に諸先輩に贈呈したところ、多くの感想や激励が届いた。「そのときは心から、本にして良かったと思いましたね」と野中さんは語る。また、ときどきインターネットの書き込みで、読者からの「参考になった」といったコメントを見つけることがあり、それもうれしいと笑顔を見せる。
 
○PBを皮切りに、“スタンダードな紅茶”の提供を目指す
 
 さて、休職中には、市販されているあらゆるブランドの紅茶を片っぱしから飲んでみたという野中さん。その中で、日本には“スタンダードな紅茶”がないのではないかと痛感したそうだ。ごく普通の消費者が、手ごろな価格で、気軽に飲める、飽きない紅茶…。今、野中さんが、MCBFでまず作れたらという紅茶商品が、この“スタンダードな紅茶”である。イギリスでいえば、ブルックボンドの「PGチップス」のような存在かもしれない。
「日本では、紅茶の良さをわかって飲んでいる人がまだ増えていないと思います。お茶の魅力は、心を穏やかにしてくれるところです。興奮しているときには鎮めてくれる、逆に沈んでいるときには気持ちまで温めてくれます。また話をするときには、人を饒舌にしてくれます。特に紅茶は、心に働くお茶ではないでしょうか。このような紅茶の魅力をもっともっと紹介していきたいです」
 という野中さん。MCBFの紅茶事業および野中さんのますますの活躍に期待したい。
 





紅茶と水の物語
文芸社
野中 嘉人

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