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zoom RSS Hand-made black tea - 手づくり紅茶に初挑戦

<<   作成日時 : 2013/05/15 22:07   >>

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 庭に1本ずつあるやぶきたとべにふうきの新芽が、今年は気がついたら伸び過ぎてしまい、芯芽までしっかり開いてしまっていた。今年は3月ごろから芽が出始め、桜の開花と同様、例年より早めだったが、その後の低温傾向で足踏みしていた。立春から八十八夜となる5月2日には、家のこの2本のお茶の木は茶摘みの最適期をすでに過ぎてしまっていたのだが、せっかく芽吹いたお茶の葉を無駄にするのはもったいない。今春出てきた若葉を全部摘めば、小さなザルに1杯くらいにはなりそうだ。これまでは摘んですぐに蒸し、それから手鍋で炒って乾燥させ、緑茶もどきをつくっていたが、今年は紅茶にしてみようと思い立った。昨年10月に、愛知・尾張旭市の紅茶イベントで、「手づくり紅茶体験」のコーナーがあり、家でできる、ごく少量の紅茶のつくり方を見てきた影響も大きかった。
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初めてつくった紅茶。このような野性的な外観でも、れっきとした紅茶の味と香りに仕上がった。


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茶摘みの最適期を過ぎ、芯芽まで開いてしまったが、とにかく紅茶をつくってみようと、摘めるだけ摘んだ生葉。やぶきたとべにふうきが、ほぼ半々に混ざっている。

 5月7日の朝9時半ごろ、まずお茶の葉を摘んだ。本来ならば、「一芯二葉摘み」といわれるように、まだ開いていない芯芽と、その下の2枚の葉だけを摘むのが理想的なのだが、とにかく今回は若葉という若葉はすべて摘み、ザルの上に広げて室内で一晩置いた。これが室内萎凋という工程だ。夕方になって、ザルの上の葉を両手ですくって顔を近づけると、青っぽく清々しい萎凋香が漂い始めていた。ときどき、葉の上下をひっくり返しながら、葉の香りをクンクンと嗅いでは、「紅茶工場の萎凋槽から香ってくる青葉の香りと同じじゃないか」とうれしくなった。その晩は、5月にしてはとても冷え込んだ。紅茶工場の萎凋槽の下部は、通風して萎凋を促進するが、ひんやりした夜風は萎凋にいいかもしれないと、雨戸を少しだけ開けてその前にザルを置き、夜風が当たるようにしておいた。萎凋槽で萎凋する場合も、紅茶の品質のためには冷風を使うほうがよく、雨季などで摘んだ葉の量が多かったり、葉に含まれる水分が多かったりする場合は、温風を使ってより早く萎凋が進むようにしているのだが。

 翌8日の朝7時15分ごろから、揉捻を開始することにした。摘んでから約22時間萎凋した茶葉は、しんなりとし、中には葉のふちがほんのりと褐変している葉もあった。多分、べにふうきの葉だろう。萎凋の具合は、いったんギュッと葉を掴んでから手を広げたときに、葉のほうは広がらず、掴んで固まった形を保つようであればいい。萎凋槽を使えば、15〜18時間くらいで生葉の水分が半分ほどになるが、ザル萎凋とはいえ、22時間置いたし、葉もそれなりにしんなりとし、手で握ると塊状になるので、いいだろうということにした。
 
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 ザルの上で22時間萎凋し、しんなりとした葉。葉のふちがほんのりと褐色になっている葉は、べにふうきだろうか。
 
 揉捻は、まな板の上にやや厚めの紙を敷いて行なった。今回は数日前に本来の役割を終えたばかりの4月のカレンダーの裏を使用することにした。昨秋の講習会では、「どんな揉み方でもいいのです。両手に挟んでこするようにしてもいいし、台の上で転がすようにしてもいいです」と説明されていたので、とにかくモミモミ、ギューギュー、グリグリと20分間揉み続けた。この間、茶葉から立ち上ってきた爽快な香りも素晴らしかった。こんな揉み方でいいのだろうかという一抹の不安はありつつも、「香りとしてはいい感じ、いい感じ」と自分で自分を励まし、この香りを存分にかげるだけでも幸せじゃないか、と感じ入った。この揉捻により、茶葉の細胞が破壊され、葉汁が絞り出されて葉の表面に再付着する。同時に、空気中の酸素と葉汁が酸化酵素の媒介によって反応し、急激に発酵が進み始める。

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厚めの紙の上で約20分揉んだ後の茶葉。


 約20分揉んだ後で、発酵工程に移る。紅茶の発酵は、茶葉に含まれるカテキンが、酵素の働きにより、空気中の酸素と反応して重合していく変化をさす。茶葉をまず蒸したり、炒ったりして、酸化酵素を不活性化させると、この発酵が起こらず、緑茶として仕上がる。インド・ダージリンの紅茶工場などで「発酵時間は2時間半」と聞くのは、「揉捻を始めてから乾燥機に入れるまでの時間」という意味である。紅茶工場では、20〜40分揉捻した後、低温、高湿度に保たれた発酵室の床や棚に、揉捻後の茶葉を広げ、ほどよい発酵状態になるまで静置する。そのような発酵室などがなければ、揉んだ茶葉を濡れぶきんに包み、涼しい場所に置いておけばいい。

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揉捻した茶葉を濡れぶきんに包んで2時間強置いておく。


 2時間半経ったので、そっと濡れぶきんの包みを開けてみた。まだ葉は青みがかっているが、匂いを嗅ぐとリンゴのようなフルーティな香りにすっかり変わっていた。紅茶をつくるときのこの発酵工程は、チーズづくりのように微生物の働きによるものではなく、「揉捻後の茶葉が単に酸化するだけなので、発酵ではなく酸化であり、紅茶は発酵茶ではなく、酸化茶と呼ぶべき」と主張される方もいるが、これほどまでの香りの変化を、「単なる酸化」と呼ぶのは少々失礼ではないかと思う。紅茶の発酵は、明確な意図をもち、その化学変化に適した環境の下で、細心の注意を払いながら、紅茶としての香味の生成を促していく重要な工程だ。リンゴやジャガイモの皮をむいてしばらく放置すると褐変するが、このような変化は酸化であろう。紅茶の発酵工程と、リンゴやジャガイモの皮の褐変は、化学変化の原理としては共通していても、人の手や意識の関わり方という面では、やはりかなり相違があると実感した。

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2時間半発酵させた茶葉。まだ緑がかった色だが、青葉の香りからリンゴのようなフルーティな香りにすっかり変わっていた。
 
 発酵をいつ止めるのか、こういう状態になったところで止めるとこんな紅茶になる、もう少しこうしたいのなら、短めにする、あるいは長めにする、といった見当はまったくつかない。とりあえず、ダージリン茶くらいの発酵時間が経過したし、この素晴らしいリンゴのような香りをそのまま封じ込められたらいい、という判断で、9時45分ごろから乾燥工程に移ることにした。ちなみに、「2時間半以上発酵させると、雑菌が繁殖して腐敗する」と書いてある本を最近見かけたが、これはマユツバ。茶葉がもったいないので今回は実験しなかったが、発酵工程として2時間半以上置いたら、仕上がり茶の味や香りは変わっていくだろうけれど、腐葉土のように「腐敗」するまでには数カ月かかるのではないだろうか。

 発酵を止めて乾燥させるために、これまでの緑茶もどきと同様に、厚手のアルミ鍋を使い、電熱コンロの一番の弱火にかけ、炒り続けた。緑茶もどきの乾燥工程では、茶葉の量が少なかったせいか、20分ほどでカラカラに乾燥した。しかし今回は、思いのほか時間がかかった。なんと、約1時間半! ここまできて茶葉を焦がしたくないので、火力は強めずに菜箸でかき回し続けた。アルミ鍋から立ち上る甘い香りもうれしく、嫌ではなかったが、なかなか菜箸の感触がカラカラッという状態にならず、時折不安がよぎりながらの1時間半だった。

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電熱コンロの1番の弱火に厚手のアルミ鍋をかけて茶葉を入れ、菜箸でかき回し続けること1時間半! ようやくカラカラとした仕上がり茶になってきた。
 
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でき上がった茶葉を量ってみると、堂々の20g! ということは、最初の生葉は100gくらいあったのだろうか。生葉がこの2〜3倍採れると、多少は作り甲斐も出てくるのではないか。

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ドキドキしながら、できたての紅茶を淹れてみる。「おっ、紅茶になっている!」というだけで、今回は大満足!

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抽出時は、4〜5分じっくり蒸らすといいようだ。茶殻は、もともとの葉の形にきれいに戻っていった。

 仕上がった紅茶を淹れて楽しむのもいいが、製茶工程中のどの香りも大好きだ。「1年中、紅茶工場の中で働けたら、それだけでとても幸せかもしれない」と、本気で思った。

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