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zoom RSS 紅茶の国スリランカで、紅茶とともに生きる人たち <3>生産と流通をつなぐティーブローカー@

<<   作成日時 : 2016/11/01 20:45   >>

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<3>生産と流通をつなぐティーブローカー
@アニール・クック

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1957年コロンボ生まれ。セント・トーマス・カレッジ卒業。1978年、ブローカーのフォーブス&ウォーカー社入社。1998年に新ブローカー、エイシア・シヤカ社の設立メンバーとなる。

 最初に入社したフォーブス&ウォーカー社は、スリランカでは2番目に古いブローカーです。なぜフォーブス&ウォーカーを選んだのかというと、紅茶業界では有名な企業のひとつですし、私は伝統のある、基盤のしっかりした会社に入りたかったからです。

 私は男ばかりの6人兄弟で、上から2番目です。入社した前年に父親が亡くなったため、経済的に安定した会社に入りたかったのです。今、上の兄は日本の女性と結婚して大阪に住んでいます。すぐ下の三男はオーストラリア、四男はイギリス、五男は世界銀行に勤めていてワシントンDCに、六男は砂漠化防止のための世界協定に携わっており、ローマに住んでいます。

 父親を早く亡くしたので、兄と私は母親を助けながら、まだ小さかった弟たちの生活や教育の面倒をみなくてはならなくなりました。私は実は、法学部から弁護士になるコースに進みたかったのですが、その第一希望をあきらめ、家族のために働く道を選んだのです。

 1975年にセント・トーマス・カレッジを卒業し、アクワイネス・ユニバーシティ・カレッジに進みました。セント・トーマス在学中はスリランカの言葉であるシンハラ語を専攻していたので、英語を勉強したいとアクワイネスに行ったのです。

 アクワイネスでは大学入試資格取得の勉強をし、同時に英語専攻に変えました。スリランカにはアメリカのSATのような大学入試資格があります。それに合格すると、スリランカではいろいろと選択肢が広がり、大学や法科学校に進んだり、または職業適性検査などを受けることができます。アクワイネスには2年間通いました。スリランカでは1年勉強して、試験の結果が出るまでもう1年かかります。私は大学入試資格を取り、法学部に進むつもりだったのですが、それを諦めて紅茶会社に入りました。

 父親が亡くなった翌年の1978年1月に、フォーブス&ウォーカー社入りました。仕事はおもしろく、やりがいがありましたし、同時に家族に対する責任感もありました。とてもいい会社でしたし、素晴らしい伝統を持っていました。フォーブス&ウォーカー社は、約100年前に英国人が創設した、紅茶、ゴム、ココナッツ、スパイスのブローカーです。特に紅茶に関しては、コロンボオークションで最大のブローカーでした。

 同社では伝統的に、ディレクターが引退するときに、すべての株式を新しいディレクターに売却していました。100年間、このように会社の所有が受け継がれてきたのです。ですから、優秀な社員が昇進し、最終的に会社の社長、オーナーになれるという展望をもてるのです。これは世襲制とは異なり、優秀な社員が次期社長になるという伝統があったのです。

 ところが1995年ごろに、ディレクター間でもめごとがあったときに、カナダの投資家が同社の全株式を買ってしまったのです。その投資家は、スリランカ生まれでカナダに移民して成功しているビジネスマンでした。今まで100年間、社員が順に会社を受け継いできたという伝統が、外部の投資家による買収で崩れてしまったのです。

 しかも、それだけでは済みませんでした。そのカナダの投資家の会社がアメリカ企業に買収されてしまい、フォーブス&ウォーカーもアメリカ企業の傘下に入ったのです。アメリカの企業にとっては、カナダの会社を買収したつもりだったのに、その中にスリランカの会社も含まれていると知り、これは要らないと、フォーブス&ウォーカー社をスリランカの銀行に売却したのです。ディレクターの間では、MBO(経営陣による自社株の買占め)により取り戻そうという声が高まったのですが、当初は合意したその銀行が、その後発言を覆し、50%だけだと言ってきたのです。

 そこで1998年2月に、私も含め、フォーブス&ウォーカー社の紅茶担当の幹部が全員辞職し、自分たちで新しい会社を設立したのです。社名のシヤカ(Siyaka)は、サンスクリット語で「自分の努力で」、「自分の働きで」という意味で、つまり自立を目指してつけた名前です。われわれは紅茶のブローカーを設立したかったので、40%の株式を投資銀行のエイシア・キャピタルに引き受けてもらいました。これがエイシア・シヤカという社名の由来です。つまり、社員が60%の株式を持っています。

 設立後5年でエイシア・シヤカは、コロンボオークションでの紅茶の扱い量で第3位の紅茶ブローカーになりました。特に低地産の紅茶のブローカーとしては、設立後2年で第2位になりました。たくさんのプランテーションや紅茶工場のオーナーが当社についてきてくれたからです。フォーブス&ウォーカー社は、当社の事業を辞めさせようと訴訟を起こしましたが、裁判中もわれわれは倉庫や物流システムの設計・整備に取りかかっていました。2007年の国際紅茶コンベンションでも当社の物流システムを短いビデオで紹介しましたが、これほどの物流システムを整備したブローカーは、スリランカでは当社が初めてでした。最先端のシステムにするため、マレーシア、ドバイ、アメリカ、シンガポールに行き、学んだことを実現しました。当社のシステムを見て、ジョン・キリス社やフォーブス&ウォーカー社などの競合他社も同様のシステムを整えるようになりました。

 われわれは、「当社は設立10年だけれど、ビジネスの経験は200年以上ある」とよく言っています。私は1978年に紅茶業界に入りましたし、他のディレクターたちの業界での経験年数を合計すると200年以上になるのだという意味です。当社の事業の95%が紅茶ですが、今はココナッツやコーヒー、またナツメグ、カルダモン、シナモン、コショウなどのスパイス類の仲介も行なっています。

 紅茶産業は、私の人生の中で非常に大きな存在です。特にこの10年間は、紅茶業界に恩返ししたいと思って仕事をしてきました。紅茶産業によって、私自身も生計を立ててきましたし、父の死後、私の子供、孫を育ててきてくれています。私にとっては、地中から採れる宝石よりも尊い存在です。なぜなら、宝石は地中から採掘しますが、紅茶は人間が生産するものだからです。ですから私は、紅茶のほうが宝石よりも価値があると考えています。私は、セイロン紅茶はもっともっと世界中の人々に楽しんでもらえると思っています。

 自分の個人的な時間を利用して、スリランカのスペシャリティ・ティー紅茶の販促に参加し、ポスターを作製したり、アメリカで5回、シンガポールでは3〜4回、ネパールでも講演を行ないました。私はコロンボのブローカーの社員であり、積極的に営業活動を行なっている輸出業者ではないのですが、販促や啓蒙活動は非常に重要だと考えています。

 この素晴らしい紅茶産業に恩返しをするため、常に世界の動きを見ながら、紅茶生産者を支援していきたいです。スリランカ人が消費している紅茶の量は、スリランカの紅茶生産量の10%以下なのです。ですから、スリランカでは、世界的な視野を持ったマーケティングが必要です。まず世界の市場を把握し、市場の嗜好や需要に応じた品質の紅茶を生産するように、紅茶工場の人たちに伝えるのです。市場を重視した世界的な視野を持っていることが、スリランカが世界に向けての紅茶の供給に成功している鍵なのです。

 エイシア・シヤカでも、まず世界各地の嗜好を把握し、それに応じた紅茶をつくるように指導しています。われわれは、ティーテイスターたちをイギリスを始めとするヨーロッパ、アメリカ、日本に派遣し、研修を受けたり、市場の動向を学んだりしています。われわれは取引先も各国に連れて行き、世界の現実を見てもらいます。われわれは世界の動きを見てから変わるのではなく、世界に先駆けて変わっていかなくてはいけないのです。そうしなければ遅すぎてしまうのです。

 個人的には、紅茶には砂糖もミルクも入れずに、プレーンで飲みます。ときどきミルクだけ入れます。若い頃は砂糖をスプーン2杯入れていました。今はごくたまに砂糖を入れる程度です。スリランカ産の緑茶もよく飲みます。ヌワラエリヤのオリファントという茶園でおいしい緑茶をつくっています。オリファント茶園には樹齢100年以上の中国種の茶樹があり、以前は紅茶をつくっていましたが、今は緑茶のみをつくっています。紅茶と緑茶を合わせて、1日に10杯くらい飲みます。私は、家に帰っても頭の中では仕事のことを考えているので、夕食後も、寝る前にもお茶を飲みます。お茶を飲むと気持ちが落ち着き、リラックスできます。お酒が飲めないわけではありません。平日はほとんどアルコール類は飲みませんが、パーティなどで少しは飲みます。いろいろな国のさまざまな飲料のテイスティングに興味があるので、コーヒーのテイスティングを習ったこともあり、ワインの産地やブドウ品種による味の違いや、ウイスキーのシングルモルトの飲み比べなども勉強しています。

 私は、スリランカの産地を紹介する3本のドキュメンタリービデオの制作のディレクターを務めました。うち2本は、2003年にコロンボで「スペシャリティー(SpecialiTea)」と題する国際紅茶会議があったときに、会議の冒頭で上映したもので、1本はスリランカの産地、もう1本はさまざまな紅茶の飲用シーンを集めたものです。スリランカ紅茶局の紅茶の販促活動に協力し、セイロン紅茶のポスターの作成など、いろいろな活動を行なっています。

 われわれは、常に新しいアイデアを考え、実行に移しています。高品質の紅茶をインターネットで販売しようというネットショップ事業もそのひとつです。単一茶園の紅茶をブレンドせずに販売していますが、ひとつの茶園だけではできない販売方法です。われわれのネットショップでは、新しい名前、新しいグレードをつけて、消費者に直接販売していこうと取り組んでいます。そのネットショップでは、各産地や茶園の特徴や情報も出てきますし、こういう紅茶が欲しい、たとえば朝飲む紅茶で、ボガワンタラワ地区の紅茶が欲しいと入力すると、濃厚なタイプのFBOPはどうですか、とおすすめの紅茶が提示されます。また、ミルクティー向きの力強い紅茶が欲しいと入力すると、コンピュータが数種類を推奨してくれるのです。非常に洗練されたサイトです。 

 紅茶ブローカーは、今後さらにいろいろなサービスを生産者に提供していくようになると思います。パートナーとして、個性的な個々の紅茶を市場に提供できるように、われわれもやれることはたくさんあると思います。生産者にも協力してもらいながら、成功させていきたいです。

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